〇GJ鹿コロコロができるまで
だいだい、もも、はいいろ、きみどり、みずいろ、角があったり、切られていたり…それぞれが個性的な雰囲気を持つ鹿の張り子、「鹿コロコロ」のGood Job!センターオリジナルバージョンが誕生しました。
「鹿コロコロ」を始めるきっかけとなったのが、質の高いものづくりの魅力を発信する「中川政七商店」が創業が300周年を迎える2016年を機に「今から100年後に残る郷土玩具」を目指してスタートした、「新郷土玩具プロジェクト」。
Good Job!センター香芝(以下、GJ)/たんぽぽの家アートセンターHANAとの協働によって生まれました。
「中川政七商店」では、2015年から赤色、白色、黄色、青色、茶色の5体が販売されました。
・鹿コロコロ紹介ページはこちら→http://www.yu-nakagawa.co.jp/p/2393
張り子と聞くと昔ながらの民芸品とイメージですが、この「鹿コロコロ」には作り方の中に、昔ながらの張り子の手仕事と新しいデジタル機器の技術が詰まっています。この張り子はどのように作られているのかをご紹介します。
まず初めは「型」です。本来、張子の型は木型を職人が作っていたのですが、現在ではその職人の数が減ってしまい、奈良県内で新しい型を作ることが難しい状況でした。そこで、職人の木型に代わり使われたのが、3Dプリンターにより樹脂製の型を作ることでした。
こうして、デザイン案をもとに、3Dプリンターで出力した、新たな「型」が誕生しました。
こうして完成した型にGood Job!センターのメンバーが和紙と新聞紙を交互に貼り重ねていきます。その回数実に9回(新聞紙×4回、和紙×5回)!新聞の文字に和紙が重なり、下の層が見えなくなることで、どこまで貼れたのか視覚的にも作業しやすい工夫がこの工程にあります。
この工程、作業したメンバー次第では、完成した時にマッスルな鹿になるのかそれともスマートな鹿になるのか…鹿にとっては一生の体形を左右されるかなり重要な瞬間でもあるのです…!
ボディが完成すると、次はレーザーカッターで切り出した、角と足のパーツをメンバーがボディに接着していきます。
そして、胡粉とにかわを混ぜ溶いた下地をボディに塗り、その上にアクリル絵の具で絵付けをします。
この絵付け、一見すると筆で塗るにはかなり複雑で難しそうに見えますが、そこはご安心を。目や身体の模様、複雑な車輪の柄にはそれぞれスタンプを使用しています。これにより作業がしやすくなっているのです。
最後はボディに車輪を取り付け、走行テストをして完成です。
このように「鹿コロコロ」は「型」や角や足などのパーツの切り出しには3Dプリンターやレーザーカッターを使い、それ以外の張子の組み立て、絵付けは障がいのある人のすぐれた手仕事によって生み出されています。
先端技術とメンバーの手仕事により生み出される「鹿コロコロ」。
手仕事ゆえに、同じ形をしたものは二つと存在せず、一つひとつが世界でただ一つの一点ものです。
自分の好みの色、形を選び、好きな体形の子を探してみるのも楽しいですよ。
ぜひ一度、手に取ってごらんください。
〇「GJ鹿コロコロ」の紹介
古くは雄鹿を夫鹿(せか)、雌鹿を女鹿(めか)と呼び、それが転じて「しか」と呼ばれるようになった。
七福神の寿老人は鹿が一緒に描かれており、鹿は玄鹿と呼ばれ長寿の象徴とされている。また、奈良の雄鹿は10月になると、人や他の鹿を傷つけるのを避けるため角が切られています。
ちなみに10月の花束は横を向いた鹿が描かれており、「しかと(鹿十)」の言葉の由来になっています。