Good Job! センターがめざすことの1つに、新しいしごと・はたらき方をつくることがあります。
“新しい”“可能性をひろげる” ことを目指すためには、これまでとは違ったアプローチ が必要になります。その1つのアプローチとして「IoT(アイ・オー・ティー)」に注目しています。
IoT(Internet of Things)とは「あらゆるものがインターネットを通じてつながり相互に コミュニケーションできる状態」のことで、これまでにないモノ・コトづくりや関係性が生まれることを期待されています。
情報通信技術がここまで発達し、これからさらに発展していく現代において、軍事・産業ではなく、ケア・アートとIoT がどう関わり、いまを生きる人たちの表現やしごとや暮ら しにどのように必要とされるのか。これらの問いを突きつめて考え、理論と実践を蓄積し、 他の地域においても応用される社会的資産をつくることを目的に、研究会を開催しました。
今回は、偶然と必然が重なり、東京、神奈川、岐阜、京都、大阪、そして奈良の猛者たちが集結。
東 京/NPO法人collable:山田小百合
神奈川/慶応義塾大学:田中浩也、水野大二郎、渡辺智暁、常盤拓司
岐 阜/情報科学芸術大学院大学(IAMAS):小林茂
京 都/京都大学総合博物館:塩瀬隆之
大 阪/FabLab 北加賀屋:白石晃一、大阪大学:松村真宏
奈 良/Good Job!センター香芝:森下静香、藤井克英、小林大祐、向谷翔子、竹田周平、Yusuke、水田篤紀
たんぽぽの家:平松克啓、林志保
アートセンターHANA & Good Job! センターの見学に合わせて、ミニミニワークショップを開催。
今回は、MESH(メッシュ)というツールと、IFTTT(イフト)というアプリを使ったミニミニワークショップをしました。テーマごとに4チームにわかれ、障害のある人やケアに関わるスタッフがメインパートナーになりながら意見交換をしました。
日時:2016 年 9 月 2 日(金)11:00~12:30
場所:アートセンター HANA 2 階 会議室
主催:社会福祉法人わたぼうしの会 Good Job! センター香芝
共催:科研費挑戦的萌芽研究「インクルーシブワークプレイスデザイン」(代表:塩瀬隆之)
今回、テーマとしたのは、下記の4つです。
[1]ART チーム 《表現の拡張》
創作活動を好む人を中心に、「その人が初 めて MESH や IFTTT を手にしたときに、どのように発展させていくのか」を考えました。
[2]WORK チーム 《しごとづくりの拡張》
Good Job! センターの製品開発からメンバーの工程づくりまで、“しごと”に関わることを全般に担っているスタッフを中心に、「作業内容やはたらき方にどんな変化をあたえることができるのか」を考えました。
[3]CARE チーム 《ケアする人のケア》
ケアする人を中心に、「介助や支援をするサポー ターにとって必要な使い方」を考えました。
[4]LIFE チーム 《日常生活への応用》
車いすを利用している女性を中心に、「日々の暮らしのなかで、どんな使い方ができるか」を考えました。
90分のワークショップでしたが、たくさんのアイデアが出ました。
たとえば、発達障害のある子どもが部屋で遊んでいるときに、急に外に飛び出してしまうという状況があります。
そのときに、「外に出たらダメ」と力ずくで抑えることもできますが、あまり力ずくにしたくはないのが支援する側としての気持ち。
そこで、人感センサー(自動ドアのセンサーみたいなもの)を使って、入口から出ようとしたときに、自分の声あるいはその人が安心して聴ける声(親や仲のいい支援者など)で「どこいくの?」とスピーカーから音声が出るような簡単なシステムをMESHとタブレットを使ってつくっていました。
単なる警告音ではなくその人が安心して聴ける声というのは、「あまり力ずくにはしたくない」というケアの哲学や想いからくる発想で大切な視点だと感じます。
表現すること、はたらくこと、生活すること、いろいろなシチュエーションでのMESHの活用。今後も試してみたいという声もあり、実践と研究を続けていきます。
(小林)
※参考
MESH(メッシュ) http://meshprj.com/jp/
IFTTT(イフト) https://ifttt.com/